オズの魔法使い 

ミュージカルや映画でも知られる、アメリカの児童文学作品「オズの魔法使い」。
映画では、ラストシーンで主人公ドロシーが「There’s no place like home(我が家がいちばん)」と3回唱えると、モノクロの世界が鮮やかに色づくシーンが有名です。

当社ではこの名台詞「There’s no place like home.」をキャッチコピーとして掲げていますが、オズの魔法使いの物語を知らない人も多いのではないでしょうか。

登場人物や短いあらすじとともに、物語に込められた筆者の想いをご紹介します。


目次


「オズの魔法使い」とは

アメリカの代表的な児童文学のひとつで、1990年にアメリカの作家、ライマン・フランク・ホームが執筆しました。現在では映画やミュージカルにも派生し、世界中で翻訳されている人気作品です。

アメリカ議会図書館は「アメリカで最も優れ、最も愛されているおとぎ話」と評価しています。

登場人物

ドロシー(主人公)

アメリカ合衆国・カンザス州に暮らす、12歳の少女。
竜巻によって、飼い犬のトトと共に家ごとオズの国まで飛ばされてしまいます。 

カカシ

棒で固定されていたところをドロシーに助けてもらったカカシ。オズの魔法使いから「脳」をもらうために一緒に旅に出ます。

ブリキの木こり

錆びて動けなかったところをドロシーに助けられて登場する木こり。失ってしまった「心」を取り戻すため、一緒に旅に出ます。

ライオン

ドロシーの飼い犬トトに吠えられて怯えてしまうほど臆病なライオン。「勇気」をもらうため、ドロシーたちと旅にでます。

簡単なあらすじ

竜巻に巻き込まれて家ごとオズ王国へ飛ばされてしまったドロシー。飛ばされた家がたまたま土地を独裁していた悪い魔女「東の魔女」を下敷きにしたことから、ドロシーは一躍英雄となります。「北の魔女」はお礼として、悪い魔女が履いていた銀の靴をドロシーに授け、カンザス州への戻り方を教えてくれます。家へと帰るためにはエメラルドの都にいるオズに頼めばいいというのです。ドロシーは飼い犬のトトと共にオズの魔法使いのもとへ旅に出ます。

旅の中でドロシーはカカシ、ブリキの木こり、ライオンと出会います。カカシは「脳」、ブリキの木こりは「心」、臆病なライオンは「勇気」をもらうため、共にオズの魔法使いのもとへ目指すことになりました。数々の冒険の中で、勇気や知恵を振り絞って、困難を乗り越えていく一行。

オズのもとにたどり着き、それぞれの願いを伝えると、条件として「西の魔女」を倒すことを提示されます。西の魔女はドロシーの銀の靴を手に入れることを企て、ドロシーたちを捕まえてしまいますが、ドロシーがバケツの水をかけるとみるみるうちに魔女は溶けてなくなりました。

西の魔女を倒し、いざオズの魔法使いと再会すると、オズの正体は魔法使いではなくただの平凡な人間ということが判明しました。オズはカカシに「もみがらの脳みそ」を、ブリキの木こりに「おがくずを詰めた絹の心臓」を、臆病なライオンに「勇気のでる液体」、ドロシーに「気球」を贈りますが、どれもただのガラクタで、願いを叶えるものではありません。しかし、オズは脳を欲しがるカカシが知恵を出したり、心臓が欲しいブリキの木こりが涙を流したり、自分を臆病だと思い込んでいるライオンが勇敢に立ち向かえることを知っていました。

「あんたはたくさん勇気をもっている。つまり、必要なのは自信だけなんだ」

ライマン・F・バウム(2015) オズの魔法使い(守屋陽一 訳) p.135
ポプラポケット文庫 より

そこへ「北の魔女」が再び現れ、「知恵もやさしい心も、勇気も、すでにあなたたちは持っている」と話します。旅の中ですべて自分たちの中で育っていたと気づかされたのです。ドロシーの願いは、銀の靴によって叶えられると知らされます。

北の魔女の言うとおりに、「There’s no place like home(我が家がいちばん)」と唱え、かかとを3回鳴らすと、ドロシーはあっさりと無事カンザス州の家へ戻ることができました。

「オズの魔法使い」に込められたメッセージ

「自分の選んだ道を信じ、自信をもつこと」

「願い事を誰かに叶えてもらうものではなく、自分自身で掴み取るもの」

本作には、そんなメッセージが込められているのではないでしょうか。